日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

『デッドプール』は、意外やウディアレンのテイスト!?

デッドプールを見に行った。

近年のアメコミ映画の中では世界観がこじんまりしていて大言壮語な感じが無く、コメディタッチでラブロマンスな作風は、バイオレンスとアクションを大盛りにトッピングしたウディアレン作品のよう。大人のための童話として成功していると感じた。

この魅力的なメタ・ヒーローの誕生を素直に言祝ぎたい。


映画『デッドプール』海外版スポット

 

 

アメリカではR指定ということで、大人向けのアメコミ映画なのだが、政治的な内容でもなく残虐描写もスタイリッシュで気にならず、R指定の部分は主に『テッド』のようなお下劣なベシャリに向けられたものであった。ストーリーは勧善懲悪で、キャスティングと演出もヒロインは魅力的で(すみません、私の個人的な好みです)悪役はわかりやすく描かれており、非常に主人公に感情移入しやすい大人のためのヒーロー映画になっていた。

笑いどころの小ネタも多く、できれば六本木あたりの北米系の客が多い映画館でいちいち声を出して笑って観たい(私が見たときは純ジャパの客だけで声を出して笑うのがはばかられるくらいシーンとした中での鑑賞で辛かったです)。

興行成績は上々とのことで、シリーズ化必至だと思いますが(『スーパーマン・リターンズ』は本当に惜しかった)、第四の壁を超える特性(登場人物がスクリーンから観客に直接話しかける設定)は、政治風刺にもコメディにも優れた飛び道具になると思う。本作に内容は無いんだが、空っぽな器にはどんなものでも詰め込むことができる。一作目として色を付けなかったことは、二作目以降の可能性を無限に広げたとも言える。本作の誕生で早くも次作への期待が高まっている。

 

デッドプール (字幕版)