『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』は、理想の「少年ジャンプ活劇」だった
トランプだヒラリーだサンダースだと米大統領予備選に盛り上がる2016年の今のタイミングにシビルウォー。これは見なくっちゃと映画館に足を運びました。
だがしかしBUT、過度に時代性を期待すると肩すかし。同時期の『バットマンvsスーパーマン』とも似て非なるコンセプトが全く別物の作品でした。
それに実はこの作品が、『アベンジャーズ』シリーズの第3弾ではなくて、『キャプテン・アメリカ』の第3弾なんだってことに劇場を出て家でパンフ見るまで気がつきませんでした。パンフの表紙になんでキャプテンアメリカしか出てないんだ?で気がつきました。昨今はマーベル作品が年に何作も公開されててもう何が何だかです。
でも、アクションシーンはじめ、別な意味で大いに楽しめた映画でした。
以下、予告編以上のネタバレはないはずです。
ヒーローたちが政府の管理下に置かれることを是とするか否とするかで、アベンジャーズが二つに割れるっていうんですから、これはリバタリアンとコンサーバティブとの戦いか?と思ったんですが全然違いましたね。
そうではなくて、少年ジャンプ的な明るく正しい正義の物語でした。
この映画で言われてることって実にシンプルです。
■復讐の連鎖はやめよう。<ブラックパンサー>←正しい。
■事実にもとづいて判断しないと誤るぞ。<アイアンマン>←正しい。
■友だちを信じよう。<キャプテンアメリカ>←正しい。
■政府に逆らうと監獄行き。<チームキャプテンアメリカの面々>←事実。
■能力をやたらにひけらかすと隔離され監禁される。<スカーレット>←事実。
■大げんかは大けがするしへたすると死んじゃうぞ。<ウォーマシン>←事実。
■女は男の思惑通りに都合良くはない。<ブラックウィドウ>←事実。
■AIは自分のことを理解していないのに正解を出す。<ヴィジョン>←事実。
■高校性でも大人に負けずに活躍できる。<スパイダーマン>←希望
とまあ、教訓のてんこ盛り。まるで道徳の教科書だ。これを冒頭からのアクションの連続で説教臭さを微塵も感じさせず大ヒット映画にしちゃうんだからたいしたものです。
もちろん酸いも甘いも噛み分けた人生中盤以降のすれた大人には物足りない。でも、子供と行くなら最高です。今作ではブラック・ウィドウの格闘術はプロレスのそれに終始しています(『アイアンマン2』では、シーンによってプロレス技とMMA(総合格闘技)の技とを使い分けるという芸の細かさを見せていました)。
今回は、スイング式のフランケンシュタイナーみたいなやつとかそんなのばっか。つまり"World Wide Entertainment"として作ってるぜってメッセージなのでしょう。で、それはアメコミ映画をサステイナブルなビジネスにするにはたぶん正解なんでしょうね。
これはもう、すれた大人のためにはDCに頑張ってもらうしかない!?。