日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

ルネ・マグリットのシューズ

私は、五本指のソックスは嫌いだが、五本指のシューズはたまらなく履いてみたい。最近は、五本指のソックスをはいている人は、ぱらぱらと見かけるようになったが、五本指のシューズを実際に履いてトレーニングしている人には、いまだかつてお見かけしたことがない。


五本指のシューズには独特の開放感があるそうだ。ジムでトレーニングをすると身体が解放されるので、私はいつもトレーニングの途中で自分の履いている硬いシューズが恨めしくなる。五本指シューズの開放感はいかばかりだろうか。


しかしながら五本指のシューズを履くためには、五本指のソックスを履かなければならない(註)。これは厳しい。五本指のソックスは美しくないんだよね。よくある綿の五本指ソックスは、水虫防止オーラが出過ぎていて、これを履いている人を見ると足が相当臭いんじゃないかと勝手に思ってしまう。五本指ソックスは守りの機能だ。守りの機能美は美しくない。カラフルな五本指のソックスが普通になるといいんだが。


それにひきかえ、五本指シューズには攻めの機能美がある。五本指シューズで代表的なVibram FiveFingers について書かれたwiredの記事を引用してみよう。もうすぐにも履きたくなるではないか。

Vibram FiveFingersは、驚くほど履き心地も良い。指が小さなポケットにすんなりおさまるため、楽なだけでなく、踏みしめた地面の感触も非常によく伝わってくる。いつもの革の牢獄から解放されたつま先は、トポグラフィー装置のセンサーアレイのように敏感になる。

Vibram FiveFingersを履いて走るのは、裸足で走るのとよく似ている――そして、砂利道や焼けるように熱いアスファルト道路に出くわしても悲鳴を上げずに済むという利点がある。

裸足で走ることは、靴で走ることとは違う体験だ。裸足で走る場合は、靴の場合と比べてより大股で走り、衰えたふくらはぎや土踏まずの筋肉を使用する必要がある[動画参照]。だが、そうするだけのことはある。より効率良く大股で走ることによって、正直言って走るのが遅い私が、1マイル(約1.6キロ)当たり1分近くタイムを縮めることができたのだ。

「ほとんど裸足で走れる5本指シューズ」の利点 « WIRED.jpより


肉体の開放感が得られてなおかつタイムが上がる。こんなに素晴らしいことはない。おまけにwired にはこんな素敵な Vibram FiveFingers の写真が掲載されている。


でも、私はVibram のオンラインショップを見ていて気付いてしまった。これはルネ・マグリットの描くブーツなのだと。ルネ・マグリットの『赤いモデル』は、産業消費社会が肉体を浸食してしまう近未来の予言的戯画だったのではないかと思うのだが、それが現実化した今、私は逆にルネ・マグリットの靴を履いて、自らの肉体を再認識する快楽を求めているのかもしれない。


Vibram Men's TREK LS Tan Brown
Barefootinc.jp/TOPページ


ルネ・マグリット 「赤いモデル」 1935年


(註)シューズによっては洗濯機で洗えるものもあり、裸足で履けるそうです。