日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

「英文解釈の呪い」の解き方

 バス待ち時間にはてぶをつらつら眺めていると「英文解釈」なる記事が目に入った。そういえば、先日も高校生の息子が「英文解釈」がわかんないと言ってくるから、ならやんなきゃいいじゃんと返したら、「英文解釈」しないと英語が読めないというから、そりゃ「英文解釈」の呪いだよと返したんだっけ。

 この記事では、お題が出ているので、そのお題にそって、英文解釈によらない英文読解方法をお蔵だししてみることにしてみたい。英文解釈に苦しむ受験生がその呪いから解放されますように。

www.kaekiatnoe.com

 

 この記事、「真面目」と名乗る方がお書きになっていますが、そのとおり、「英文解釈」は真面目な学生にしかできない技術なんですよね。かつての私を含め、世の大半を占めるであろう不真面目で英語の苦手な学生諸氏の一助になれば嬉しいです。

 

 さて、ではさっそく。上の記事のお題は次のとおり。

 

【例】The thing that saves most of us from feeling terrible about our limited intellect is some small part of our personality or character that makes us different.(慶應義塾大)

 

 先にご紹介した「真面目 is Life」さんの記事には、「この英文がスラスラと読めた方は、「英文解釈」がしっかり出来ています。」と書かれていますが、大丈夫、「英文解釈」は微塵もできない私ですが、読めました。

 

 で、「英文解釈」を拒否した英文の解釈方法を開陳しますんで、興味があったら読んでみてくだされ。

 

 方法としては、アタマの中に漫才のようにボケとツッコミを用意する。それだけです。

 漫才は爆笑問題が最適です。ピンとこない人はYoutubeでひとつふたつ見ておくといいです。彼らの漫才は二人の役割分担がオーソドクスなところがいいんです。ウーマンラッシュアワーのように一人がボケ&ツッコミでもう一人がチャーミングというような漫才の変則系だと、バイトリーダーのネタとか凄ーく面白いけど英語を読む際にアタマの中にお出まし願うのには向きません。ここは素直に爆笑問題でいきましょう。

 

◆読解方法

 ①アタマの中に再現した太田に、最低限の意味のかたまりごとの小出しで英文を読んでもらう。

 ②それを田中がツッコむ。

 ③これを文章の最後まで繰り返す。

 

以上です。こんな感じ。

 

脳内太田:The thing(ザ、シング)

脳内田中:ザ・シングって何だよ、わかんねーよ。

 

脳内太田:(The thing)that saves 

脳内田中:おー、守ってくれるものなんだ。で、何を守るんだよ。

 

脳内太田:(The thing that saves) most of us

脳内田中:私たちのほとんどを守ってくれるものです。って何から守ってくれるんだよ。宇宙人が襲来してんのかよ。

 

脳内太田:(The thing that saves most of us )from feeling terrible 

脳内田中:ひどく気分悪く感じることから、私たちのほとんどを守ってくれるものです。って、だからなんで気分悪いんだよ。気分悪いよ。わかんねーのが気分悪いよ。

 

脳内太田:(The thing / that saves most of us / from feeling terrible )*1 about our limited intellect

脳内田中:私たちの限られた知力についてひどく気分悪く感じることから。あー、そりゃ気分悪いわ、俺たち知力ほとんどねーもん、それで生きてるって、考えてみりゃ気分悪いわ。(ここで太田が変顔するのを思い浮かべる)だからいいって、余計なことすんなよ!で、その the thing って何だよ。俺たちの知力が限られたものであるってことを気分悪く感じることから俺たちのほとんどを守ってくれるthe thing って何だよー。気になるからもったいつけずに早く言ってくれよー。

 

脳内太田:is..

脳内田中:(唾を飲みこむ)来たね。

 

と、ここまで一気に漫才を進めます。「is」は動詞だから、ここまでが主語で、次から述語になるってことを意識します。

 

ね、英文解釈いらないでしょ。文法として意識するのは、ここまでで「動詞」だけ。「動詞」が来るまでは「主語」。これだけです。

もし知らない単語があったら外来語だと思ってそのままにして次に進みます。例えば 「intellect」を知らなかったら「インテレクト」で通します。で、全部文章を読み終わったら辞書を引いて覚えます。本番の入試でこれが和訳の問題だったら、わからない単語だけカタカナか英語のスペルのまま書いておいても、大学によっては部分点がもらえます。

外来語のようにしておくのに気分的に耐えられない場合とか、知らない単語がひとつの文章に3つ以上とか出てくる場合は、その場で辞書引いて覚えてしまいます。文脈で読んでいるので、品詞はすぐにわかるはずです。例えばこの場合だと limited な intellect だから、 limited が形容しているのでintellect は名詞だなとわかります。

 

それでは後半に進みます。

 

脳内太田:(The thing / that saves most of us / from feeling terrible / about our limited intellect )(is) some small part

脳内田中:some small part ってpartsじゃねーのかよ。some なんだから複数形だろ。

脳内太田:The thing is... 

脳内田中:ごめんなさい。some は「いくつかの」じゃないんですね。「何か小さな部分」なんですね、the thing さんは。

 

ここは、脳内太田が、文章冒頭の主語のコアであるThe thing と述語動詞の is   を指摘することで、主語が単数だからそれを受けるpart はあたりまえに単数だと脳内田中が気づいて脳内太田に謝るシーンです。 

 

てな感じで、ボケとツッコミしながら読んでいくと、受験問題でおさえておくべき採点ポイントを見逃しません。受験勉強段階で、もしsomeが単数形を取る場合を知らなければ、ここで気づいてtipsをひとつ増やすことが出来ますし、本番だったら、someが単数形を取る場合の訳「何か」を知らなくても、「いくつかの」と訳すと減点になることに気づくので、文脈から減点にならない訳を考えて賭けに出ることができます。当たればもうけもんです。

 

では、進みます。

 

脳内太田:(some small part )of our personality or character

脳内田中:私たちの人格や性格の何か小さな部分って、また分かんなくなったよ。なんだよ。どんな「私たちの人格や性格の何か小さな部分」なんだよー。

 

脳内太田:(some small part / of our personality or character )that makes us different.

脳内田中:「私たちに違いを作る」ね。「私たちに違いを作る私たちの人格や性格の何か小さな部分」って、あーそう、それがお前の the thing の正体なわけね。

脳内太田:(ドヤ顔で)「俺たちの知力が限られたものであるってことを気分悪く感じることから俺たちのほとんどを守っているものは、俺たちに違いを作ってる俺たちの人格や性格の何か小さな部分である。」

脳内田中:言いたいことは分かったけど、意味はさっぱりわかんねえよ。せめて「俺たちの知力が限られていることについて気分悪く感じることからほとんどの俺たちを守ってくれているものは、他人との違いを作る人格や性格の何か小さな部分である。」くらい言えないのかよ。

脳内太田:「俺たちの知力が限られたものであることの気分悪…」

脳内田中:もういいよ。これ以上気分悪くなりたくないよ。どうもありがとうございましたー。

 

たまに、子供(高校性です)の勉強を見てて思うのは、こういう哲学的な内容の英文和訳だと、英文の難しさと英文の内容の難しさがごっちゃになって、自分が理解できる日本語に無理やり超訳しちゃってもとの英文から離れてしまうケースがあるってことですね。

今回のお題の場合、最後の太田の直訳を田中がちょっとだけこなれた日本語にするんだけど、やっぱり日常使うような日本語じゃないから違和感がある。で、日常語に引き寄せて「私たちのほとんどは、他人との何かちょっとの違いがあるおかげで、知力の限界という気分の悪さを感じずにすんでいます。」とか訳しちゃうんですね。気持ちは分かるんですけど、受験英語の英文和訳問題は超訳力を問うものではありませんから、直訳調のままの寸止め回答が無難なのです。英文和訳は翻訳とは違うのです(逆にいえば、長文読解の時は超訳でどんどん読んで行っていいことになります)。

翻訳は怖いんです。昔、出張でサンフランシスコに行ったとき、こちら側のある人が支離滅裂のことをしゃべってるのに、同時通訳さんが非常に素晴らしい英語に直してしまったんですね。それで、相手さんが感激しちゃって仕事がトントンと進んだんですが、案の定、あとで破綻して(通訳はその場限りでしたので)、現場は尻拭いに大変でした。難しい文章は難しいまま、支離滅裂な文章は支離滅裂まま訳す練習をしておかないと、社会に出てから大変なんです。って、ことを受験生諸氏には言っておきたいですね。

あと、漫才方式の方が疲れるって人は、英文解釈の方が向いている人ですから、そちらで研鑽を積んでくださいね。答えが出ればやり方は自分に合ってるのが一番ですから。

では、受験生諸氏のご検討をお祈りします。

あと最後になりましたが、真面目 is Life 様、超久々に英文読解をしてみる機会になりました。どうもありがとうございます。世の中、真面目と不真面目が頑張れば、全人類が救われます。共に頑張ろうではありませんか。

*1:意味の区切りごとに /(スラッシュ)を入れています。ご存じの方はとっくにお気づきかと思いますが、漫才方式はスラッシュリーディングのアレンジです。