日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

『風立ちぬ』は挑発する

泣いた。なので、自分は感動したのだろうと思うが、何に感動したのか非常に感想に書きづらい。愛だの時代だのの陳腐な切り口の先にあるものを「風」以上の言葉で書き連ねることが難しい。「泣いたから感動」では馬鹿だよな、俺。

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  作者の物を作る人間としての自分の業への「開き直り」とおぼしきこの映画は、しかしながらそうであるはずなのに、スクリーンには「達観」が溢れているように見える。

しかもそれは昇華ゆえではなく、「達観」を表現の技術で表わした作品なのだろう。

 そしてそれは、自己肯定でも運命への諦念でもなく、風を感じ風を制し風に委ね風を愛することを己の人生とした宮崎駿だから可能だったということなのだろう。

10年でいいから生ききってみろ。10年は長い/短いではない、個人の感傷を超えた時代と向き合う10年をお前は生きられるのか。そう言われたような気がした。俺は仕事を通して何か多少なりとも刹那でなく作り出すことができるのか。やはり宮崎映画は甘くない。

 

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