ネット時代の組織運用

興銀'だった銀行'に勤める友人に、企業は起業後に二段階に壁が来るという話を聞いたことがある。

やり手の創業者のもとで起業してイケイケで事業を拡大してきた企業にとって、最初の壁は従業員が増えすぎて、フロアを二つにしたときに来るそうである。階をまたがると、どうしても社長がいる階とそうでない階とに分かれてしまう。そして社長の目が届かない階の方が問題をやらかすそうである。

この危機をくぐり抜けると次に来る壁は、ビルを二つに増やしたときだそうだ。階が変わっても同じビル内にいれば会う機会がほとんどないということにはならない。ところが、ビルが違ってしまうと、どうしても社長のいないビルの社員は社長の考えから離れた行動を取りがちになるそうだ。支社の場合だと、支社長が社長の意向に反する指揮をとったり、問題を隠蔽したり、ということがおきがちなのだそうである。そして、これを乗り切ると、もういくら支社を増やしても、経営のリスクは変わらず、ベンチャーは通常の企業として扱われるのだそうである。なんとも銀行家らしい観察だ。彼の話を聞くまでは、ベンチャーの最初の壁は初代社長が変わるときだと思ったが、それは最後の壁なのだろう。

で、wikiやネットのツールは、この壁をやわらげる一方、強めてしまう作用もあると思う。ネットによってベクトルを同じくする組織のメンバーは場所を問わないが、それは、遠隔地を結びつける一方で、隣にいる人と同じベクトルに属することも無意味化してしまうからだ。

ネットの距離感にリアルな距離の連帯感をかぶせたり、一人が多数のコミュニティに属することでこの問題は回避できると思うが、ネット時代の効果的な組織運用についてはいつか機会があったらもっと掘り下げて考えてみたい。