日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

beyond the Web2.0

-Googleを土管化する
ポストWeb2.0で実現できたらいいなと思うことに、トランスルーセント(translucent=半透明)Webというコンセプトがあります(勝手に名付けたコンセプトです)。

これは何かと言うと、情報管理をGooglemixiなどのサイトまかせばかりではなく、ユーザーもハンドリングできるオルタナティブを作ろう、というものです。端的に言えば、パーツ単位の相手先指定や暗号化を可能にすることで、Googleを土管にするのです。

最近ではあまり聞かれなくなりましたが、ひところはGoogle脅威論が結構あちこちで聞かれました。
個人情報の集積への不安やGoogle八分への不満などが、反Google感情の源泉だったように思います。
前回のエントリーもその辺を意識しています。

確かに、Google社の社是「邪悪にならない(Don't Be Evil)」は、逆説的にGoogleが邪悪になりうる力を持つ宣伝になっている面もあり、ネットの向こう側に知らずに自分の情報がプロフェイリングされてしまう気持ち悪さは私にもあります。でも、その気持ち悪さと利便性とをはかりにかけてユーザーはGoogleを使うことを選択しているのですから、Googleばかりを悪者にするのはあまり建設的な態度ではないような気がします。

そもそもGoogle検索のメインはWebの情報です。GoogleはWWWのプラットフォームに依存していますので、邪悪に見える(^^;;)Googleの振る舞いも、実はWWWの特性を反映している面が大きいように思います。オライリー氏によるWeb2.0の特徴の一つは"The Web is the Next Platform"だったですしね。

で、このGoogleを邪悪に見せてしまうWWWの特性とは、情報が公開するか否かの二択になるということです。
この二択は、梅田望夫氏流に言えば、「こちら側」と「あちら側」の二択です。WWWに情報を載せるということは、実体が手前のPCにあろうが、「はてな」や「wikipedia」のように直接接続先に書き込もうが、情報はキャッシュにコピーされますので自動的に「あちら側」の情報になります。(もちろんHTMLはただのマークアップ言語ですから、別にネットに接続せずにローカルだけで使うこともできるのですが、ふつうはそんな使い方はしません。ローカルだけで情報を扱うならエディターやMS-Officeなどを使うのがふつうです。)
そしてここがポイントなのですが、一旦「あちら側」に接続した情報は、あとから「こちら側」に戻すことは困難です。Googleにクロールされてしまえば、ローカルの情報を消したところで、キャッシュから文章を読むことができますし、接続されていたときに、誰かが情報をローカルに落としているかもしれません。「あちら側」の住人は不特定多数ですから、絶対に情報を回収したと言い切ることはできません。Googleはなんでもかんでも情報を集めてプロファイルするから邪悪だと言ってみても、Googleにとってみれば、そこにあった情報を拾ってきただけ、とも言えるのです。また、SNSのようにタグの処理で検索を回避し、特定の人にだけ情報を開示する仕組みであっても、その公開のルールは例えばmixiなどのサービス提供者の決めたルールに縛られますし、書き込みのフォーマットも提供されるサービスに従わなければなりませんから例えばmixiの日記を気分である日だけ公開したりやめたりといったことは今のところできません。


-トランスルーセントのコンセプト
トランスルーセントWeb」では、こうした二択を取りません。文章や画像などの単位ごとに公開・相手先指定・非公開を設定できるようにしたいと思います。

例えば、小さい子供のいる家族が旅行に出かけたこと日記に書いて「トランスルーセント」でアップするシーンを考えてみます。子供の写真をいっぱい撮ったので、田舎にいるおじいちゃんおばあちゃんには全部見せたい。子供のお友達にはかっこよく写っているのだけを見せたい。親の友達にはかわいらしく写っているのを一枚。文章は基本の日記の部分は全体に公開して、相手ごとのコメントは読ませたい相手だけを指定してアップしたい。写真は誘拐などに悪用されたくないので公開しません。

今のBlogなどの仕組みでは、上記のようなことを実現することは不可能です。

XMLのタグに相手先指定を織り込み部分暗号化と組み合わせることで、これが実現できないかと考えています。相手先指定にはSIPアドレスが使えないかと思っています。XML encliption (W3C XML Encryption Working Group)は、センテンスやパーツ単位で暗号をかけたりかけなかったりできるそうですから、実現は不可能ではないように思います。

トランスルーセントWeb」が実現できれば、ググらせたいものだけググらせることができるようになります。「トランスルーセントWeb」は、情報をハンドリングするパワーをWeb2.0企業の手から情報制作者に戻す仕掛けと言えます。

Google脅威論では、Google社が中国政府の検閲を容認したことも糾弾の一因でした。一方、国家の検閲から表現の自由を守るために作られたフリーネットは、その完璧な秘匿性の故に裏情報流通の温床になっているとも聞きます。公開/非公開の二元論を乗り越え、人々の表現欲とプライバシーの両立が「トランスルーセントWeb」によって実現できればいいなと思っています。

ただ、小生はプログラミングは専門ではないので、賛同者をぼちぼちお願いしているところです(夢落ちみたいでスミマセン)。