日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

ハルカトミユキを聴いた日

なんか邦楽で新しい音楽聴きたいなーと思ってapple musicを漁っていたら、超文化系なタイトル付けてる女性2人組を見つけた。 これとか。短歌になってる。マジか。 虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。 アーティスト: ハルカト…

『ゴースト・イン・ザ・シェル』に見るアイデンティティクライシスの日米差

★★★ 士郎正宗の原作漫画『攻殻機動隊』(以下、士郎攻殻と略す)ではなく、押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(以下、押井攻殻と略す)の実写化である本作品は、主人公たる少佐の苦悩を押井攻殻とは別のものに変えてきた。その苦悩は、同時…

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』はFacebook社の秘密でもある

★★★★ 52歳から世界企業を起業した男(=マクドナルド創業者)の物語を知りたいなと思っていたところにAmazonプライムで本作を見つけました。見る前には予想だにしなかったとても面白いことに気づいてしまったので、ちょっと書いておこうと思います。それはマ…

アンチ・ディズニーランド派は『エスケイプ・フロム・トゥモロー』で溜飲を下げるか

ディズニーが自前の配信サービスをはじめるために、netflixからディズニー作品を引き上げるのだという(ディズニーは「自分のNetflix」をつくる。ほかのスタジオもそれに続くかもしれない|WIRED.jp)。 ということで、netflixからディズニー作品がどんどん…

『ブレードランナー2049』の限界と矛盾

★★★ 『ブレードランナー2049』は『ブレードランナー』の続編として完璧だった。ストーリー以外は。(以下ネタバレあり) 映画『ブレードランナー2049』日本版予告編

『ワンダーウーマン』に国際プロレス軍団の哀しみを見た

非常に前評判の高かったワンダーウーマンを見に行きました。ワンダーウーマンは、スーパーマンやバットマンと同じDCコミックスのヒロインです。 映画『ワンダーウーマン』本予告【HD】2017年8月25日(金)公開

テイストがアメリカン・ニューシネマだった『LOGAN ローガン』

★★★ テイストがアメリカン・ニューシネマな感じで驚いた。今のアメリカはベトナム戦争敗北時と似た精神状況に置かれているのだろうか。 映画「LOGAN/ローガン」インターナショナル版予告(字幕版)

存在していた未来のような

news.mynavi.jp

『君の名は。』は思想したか

★★ ボーイ・ミーツ・ガールものとしては楽しい。だが、エヴァやマトリックスがキリスト教をギミックとして使いこなしたように神社の設定を活かせていたら、もっと傑作になったのにとの思いも残る。(以下ネタバレあり) 「君の名は。」予告

『シン・ゴジラ』と石原さとみの英語のリアルと大国主(オオクニヌシ)と

★★★★ 偶然にも『シン・ゴジラ』公開前の過日、とある歴史ある神社の巫女さんと会話する機会があり、あの偉大なるゴジラのテーマの作曲者である伊福部昭氏は、代々神主の家系であり、先祖をたどると大己貴命(オオナムチノミコト)に行きあたることを知りまし…

『デッドプール』は、意外やウディアレンのテイスト!?

デッドプールを見に行った。 近年のアメコミ映画の中では世界観がこじんまりしていて大言壮語な感じが無く、コメディタッチでラブロマンスな作風は、バイオレンスとアクションを大盛りにトッピングしたウディアレン作品のよう。大人のための童話として成功し…

『エクス・マキナ』と日の丸

★★ 2014年の冬にオンラインマガジンのwiredの記事(『Ex Machina』:美しく強力なアンドロイドとの三角関係を描く映画(予告動画あり)|WIRED.jp)でこの映画を知って、以来日本での公開を待ちわびて、ようやく先日劇場鑑賞してきました。 その間、欧米での…

『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』は、ジェイソンボーンになった

キャプテンアメリカの第二作を見た。 一作目のコンバット調から舞台を現代に移してまさかのスパイアクション調。この転調は見事だ。 映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』予告編

『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』で矢作俊彦氏が見過ごしたこと

キャプテンアメリカの第1作を見直した。 映画『キャプテン・アメリカ:ザ・ファースト・アベンジャー』予告編

『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』は、理想の「少年ジャンプ活劇」だった

トランプだヒラリーだサンダースだと米大統領予備選に盛り上がる2016年の今のタイミングにシビルウォー。これは見なくっちゃと映画館に足を運びました。 だがしかしBUT、過度に時代性を期待すると肩すかし。同時期の『バットマンvsスーパーマン』とも似て非…

MBA4.0

とある米国在住の大学教授から何年か前にボストンで聞いた話。そろそろ忘れそうなので、備忘禄的に書いてみる。 ハーバード大学のMBAコースでの教授間のイニシアチブの歴史というのを聞いた。雑談の中での一つのトピックだったのでどれくらい正確なのかはわ…

『外国人市民がもたらす異文化間リテラシー』落合知子 書評

何年かぶりに会った友人から自著の献本をいただいた。思うところあり書評を書いてみた。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が浮き彫りにしたもの

★★ 激賞する友人に触発され、さあ乗るぞと勇んで鑑賞したもののイマイチ乗れなかった理由は、この映画が、行って途中で思い直して折り返すというめずらしい構造を持ったロードムービーだったからかもしれないなと。(以下ネタバレあり) 映画『マッドマックス…

『百円の恋』は映画的というより演劇的か

『百円の恋』を見に行った。凄く凄く見たくてようやく映画館にたどりついた感じ。 ボクサー役の役作りできっちり絞った肉体に仕上げ、それをボクサーになる前の弛緩した身体作りのためにクランクイン前に10kg以上増量し、撮影の10日間で10キロ以上減量して試…

ゲイと日本とLGBT

このごろLGBTっていう言葉をたまに耳にするようになったわね。L・G・B・T。 レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーのことよ。 要は性的マイノリティーのことをもっとよくわかってね、ってこと。 最近ではジョブスのあとにAppleのCEOになった…

鉄斎とシニアライフ

出光美術館に鉄斎展に行ってきた。 それぞれの絵の画風に、著しく違いがあるのに驚いた。展示コーナーをジグザグに移動して、年代別に画風を追った。 84歳から85歳にかけて何があったのだろう。その後、字体も変わっている。私ごときが論評などおこがましい…

『X-men フューチャー&パスト』(2014/米)見てきました。

会社帰りに鑑賞。ブライアン・シンガー以外のX-menになじめなかったので素直に嬉しい。 X-Men: フューチャー&パスト (字幕版) シリーズ第一作と第二作の監督であったブライアン・シンガーが、ウルヴァリンシリーズを含むと7作目の本作で監督に復帰したわ…

『アナと雪の女王』が示すアメリカの現在と未来

昨日家族で『アナと雪の女王』を見に行ったのでその感想を書いてみようと思います。 アナと雪の女王 - 予告編 以下ネタバレ含みます。 実は先に見に行った友人の話しを聞いて、勝手に抑圧と解放の物語だと思っていました。松たか子の歌はいいけれど、日本語…

『アナと雪の女王』主題歌"Let It Go"を日本語に訳してみた

『アナと雪の女王』の評判が凄いです。中森明夫氏のコラム(「中央公論」掲載拒否! 中森明夫の『アナと雪の女王』独自解釈 – REAL-JAPAN.ORG)を読んだら私も見に行きたくなってしまいました。Disney's Frozen "Let It Go" Sequence Performed by Idina Men…

山中千尋(トリオ)のビートルズ

世間的には超が付くメジャーだけれども、どうにも自分にはピンと来ない音楽がある。クラシックではモーツァルトがそうだし、ポピュラーではビートルズがそうだ。 自分のことをへそ曲がりだとは思いたくないので、なんとかそれらとの和解を探索してきた。そう…

『偉大なる、しゅららぼん』と京都と福井

★★★★ 全く期待せずに見たら期待に反してひどく面白かった。もっと多くの人に見られてよい作品だと思う。ただ、惜しい原作の設定からの改変がありました。(以下ネタバレあり) 『偉大なる、しゅららぼん』予告編

『風立ちぬ』は挑発する

泣いた。なので、自分は感動したのだろうと思うが、何に感動したのか非常に感想に書きづらい。愛だの時代だのの陳腐な切り口の先にあるものを「風」以上の言葉で書き連ねることが難しい。「泣いたから感動」では馬鹿だよな、俺。 www.ghibli.jp 作者の物を作…

『ローマでアモーレ』に笑った笑ったでも泣けたよ

死を意識したウディアレンが葬儀屋と歌い上げる凡人の幸せと愛と人生。 以下ネタバレあり。 映画『ローマでアモーレ』予告編 キリストじゃない凡人は復活しないんだよね。前衛的なオペラの演出に人生を懸けてきたウディアレン扮するジェリーにとって引退は死…

『アイアンマン3』は、恋するフォーチュンクッキーだった

恋するフォーチュンクッキー。(←このネタ誰かが書くかと思ったのですが、ベタ過ぎたのか誰も書いていないようなので書きます。) マーベル『アイアンマン3』予告編

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、やっぱりQ文書だった!?

「序」「破」ときて「Q」ですか。死海文書をネタとして扱ったエヴァだからQは当然Q文書だろうなと思って見たらやっぱりそうだった。期待を裏切らない期待の裏切られかたに★5です。ということでQ文書について書きます。 エヴァンゲリオン新劇場版 Q 最新予告…