日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

映画

『ゴースト・イン・ザ・シェル』に見るアイデンティティクライシスの日米差

★★★ 士郎正宗の原作漫画『攻殻機動隊』(以下、士郎攻殻と略す)ではなく、押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(以下、押井攻殻と略す)の実写化である本作品は、主人公たる少佐の苦悩を押井攻殻とは別のものに変えてきた。その苦悩は、同時…

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』はザッカーバーグの秘密でもある

★★★★ 52歳から世界企業を起業した男(=マクドナルド創業者)の物語を知りたいなと思っていたところにAmazonプライムで本作を見つけました。見る前には予想だにしなかったとても面白いことに気づいてしまったので、ちょっと書いておこうと思います。それはマ…

『ブレードランナー2049』の限界と矛盾

★★★ 『ブレードランナー2049』は『ブレードランナー』の続編として完璧だった。ストーリー以外は。(以下ネタバレあり) 映画『ブレードランナー2049』日本版予告編

テイストがアメリカン・ニューシネマだった『LOGAN ローガン』

★★★ テイストがアメリカン・ニューシネマな感じで驚いた。今のアメリカはベトナム戦争敗北時と似た精神状況に置かれているのだろうか。 映画「LOGAN/ローガン」インターナショナル版予告(字幕版)

『君の名は。』は思想したか

★★ ボーイ・ミーツ・ガールものとしては楽しい。だが、エヴァやマトリックスがキリスト教をギミックとして使いこなしたように神社の設定を活かせていたら、もっと傑作になったのにとの思いも残る。(以下ネタバレあり) 「君の名は。」予告

『シン・ゴジラ』の「何かが欠けている感」と、石原さとみの役作りのリアルさについて。

★★★★ 偶然にも『シン・ゴジラ』公開前の過日、とある歴史ある神社の巫女さんと会話する機会があり、あの偉大なるゴジラのテーマの作曲者である伊福部昭氏は、代々神主の家系であり、先祖をたどると大己貴命(オオナムチノミコト)に行きあたることを知りまし…

『エクス・マキナ』と日の丸

★★ 2014年の冬にオンラインマガジンのwiredの記事(『Ex Machina』:美しく強力なアンドロイドとの三角関係を描く映画(予告動画あり)|WIRED.jp)でこの映画を知って、以来日本での公開を待ちわびて、ようやく先日劇場鑑賞してきました。 その間、欧米での…

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が浮き彫りにしたもの

★★ 激賞する友人に触発され、さあ乗るぞと勇んで鑑賞したもののイマイチ乗れなかった理由は、この映画が、行って途中で思い直して折り返すというめずらしい構造を持ったロードムービーだったからかもしれないなと。(以下ネタバレあり) 映画『マッドマックス…

『X-men フューチャー&パスト』(2014/米)見てきました。

会社帰りに鑑賞。ブライアン・シンガー以外のX-menになじめなかったので素直に嬉しい。 X-Men: フューチャー&パスト (字幕版) シリーズ第一作と第二作の監督であったブライアン・シンガーが、ウルヴァリンシリーズを含むと7作目の本作で監督に復帰したわ…

『アナと雪の女王』が示すアメリカの現在と未来

昨日家族で『アナと雪の女王』を見に行ったのでその感想を書いてみようと思います。 アナと雪の女王 - 予告編 以下ネタバレ含みます。 実は先に見に行った友人の話しを聞いて、勝手に抑圧と解放の物語だと思っていました。松たか子の歌はいいけれど、日本語…

『アナと雪の女王』主題歌"Let It Go"を日本語に訳してみた

『アナと雪の女王』の評判が凄いです。中森明夫氏のコラム(「中央公論」掲載拒否! 中森明夫の『アナと雪の女王』独自解釈 – REAL-JAPAN.ORG)を読んだら私も見に行きたくなってしまいました。Disney's Frozen "Let It Go" Sequence Performed by Idina Men…

『偉大なる、しゅららぼん』と京都と福井

★★★★ 全く期待せずに見たら期待に反してひどく面白かった。もっと多くの人に見られてよい作品だと思う。ただ、惜しい原作の設定からの改変がありました。(以下ネタバレあり) 『偉大なる、しゅららぼん』予告編

『風立ちぬ』は挑発する

泣いた。なので、自分は感動したのだろうと思うが、何に感動したのか非常に感想に書きづらい。愛だの時代だのの陳腐な切り口の先にあるものを「風」以上の言葉で書き連ねることが難しい。「泣いたから感動」では馬鹿だよな、俺。 www.ghibli.jp 作者の物を作…

『ローマでアモーレ』に笑った笑ったでも泣けたよ

死を意識したウディアレンが葬儀屋と歌い上げる凡人の幸せと愛と人生。 以下ネタバレあり。 映画『ローマでアモーレ』予告編 キリストじゃない凡人は復活しないんだよね。前衛的なオペラの演出に人生を懸けてきたウディアレン扮するジェリーにとって引退は死…

『アイアンマン3』は、恋するフォーチュンクッキーだった

恋するフォーチュンクッキー。(←このネタ誰かが書くかと思ったのですが、ベタ過ぎたのか誰も書いていないようなので書きます。) マーベル『アイアンマン3』予告編

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』は、やっぱりQ文書だった!?

「序」「破」ときて「Q」ですか。死海文書をネタとして扱ったエヴァだからQは当然Q文書だろうなと思って見たらやっぱりそうだった。期待を裏切らない期待の裏切られかたに★5です。ということでQ文書について書きます。 エヴァンゲリオン新劇場版 Q 最新予告…

クストリッツァの『アリゾナ・ドリーム』を他山の石に生きる

私の大好きな映画監督の一人、エミール・クストリッツァが、フェィ・ダナウェイとジョニー・デップを主演に撮った映画が『アリゾナ・ドリーム』である。 もう20年も前の映画だが、私が人生の他山の石としている作品である。ストーリーはこんな感じ。Arizona …

『ダークナイト ライジング』に足りぬ奇矯なる者への愛

クリストファー・ノーランのバットマン三部作の最終章『ダークナイト ライジング』を見てきました。『バットマン』(1989年)と『バットマン・リターンズ』(1992年)が好きな小生としては、クリストファー・ノーラン版のバットマンにはいまいち乗れずに三作目を…

『デストロイ・ヴィシャス』は未曾有の傑作だった

内田春菊と遠藤ミチロウと(『殯の森』の)河瀬直美と(攻殻機動隊のバトー)大塚明夫と鳥肌実と…が出演しているシュールでスプラッターな社会派パンク映画って何だろうと思って見たらとんでもない傑作でした。私の生涯邦画ベスト3には確実に入るでしょう。…

『告白』と女と殺人

11ヶ月ほど前に、映画館で見た『告白』ですが、そのときcinemascapeに書いた感想を少々手直ししたのでこのBlogにも転載。スタイリッシュで面白かった。が、この映画にテーマがあるのかないのか最後までわからなかった。もちろん、この映画にテーマがあったっ…

『キック・アス』、夢見る時代は過ぎて。

映画は、現実以上に現実を現す。特撮ヒーロー物から超現実を取り除いた本作は、痛くて苦くてキッチュでスピード感溢れる「現実」の戯画となった。 特撮に夢を見る時代は過ぎてしまったのか。そうかもしれない。 映画『キック・アス』予告編 世界を守るスーパ…

『ソーシャル・ネットワーク』と「帽子の法則」

ちょっと前に会社の同僚と映画『ソーシャル・ネットワーク』を見に行った。とても楽しんだけれど、映画全体の感想はいろいろなところでいろいろな人が書いているので(実は私もcinemascapeに書き込んでいる*1)、最も印象に残ったエピソードについて書く。映…

『空気人形』を芝居小屋で見たい

なんか無性に映画が見たくなって、先週の土曜日に用事の合間に時間を作って是枝監督の空気人形を見に行った。『空気人形』予告編cinemascapeにこんなようなの書いた。 「空気人形」は、大人のおもちゃの人形が心を持ってしまうというお伽噺だ。人の目線で描…

『パンドラの匣』は指針である

誰もが知っている文学史上の作家の作品を、たとえそれが代表作ではないにしろ、原作に対峙する(いや、僕もそうだが人によってはそれ以上と感じる)レベルで映画化できたことに素直に賞賛の意を表したい。しかも太宰だ! それも時代考証をしっかりしながらも…

『ガチ☆ボーイ』は泣ける

先週末出社したので今日は代休。TSUTAYAでDVDを借りて見た。佐藤隆太の出世作である。結構ボロボロ泣いてしまった。ガチ☆ボーイ (プレビュー)ついついツァラトゥストラはかく語りきにでてくる綱渡師のエピソードなんかを思い出して、cinemascapeにこんなよ…

『アイアンマン』は大人の映画だ

スパイダーマンシリーズのように、ぐだぐだ悩むガキんちょがヒーローなアメコミ映画にうんざりしていた小生にとって、このおっさんヒーローは意外と響きました。大人というものは、内面のフクザツさを表に出さず、単純に行動するものなんです。過去に悩まず…

『崖の上のポニョ』のソースケはなぜ両親を呼び捨てにするのか

宮崎駿が観客にかけた魔法は、実は、ソースケが、父母をファーストネームで呼ぶその設定なのではないかと思っている。以下、ネタバレあり。崖の上のポニョ予告ソースケは、母ちゃんをリサと呼び、父ちゃんをコーイチと呼ぶ。これは物議を醸すだろうなと思っ…

『ダークナイト』を反転させたらビル・ゲイツの人生になった

本作はクリストファー・ノーラン監督のバットマン2作目である。だが、タイトルにバットマンが入っていない。 名は体を表すではないが、本作は別にバットマンシリーズである必要のない作品になってしまっている。 ジョーカーが主役のバットマンを喰ってしま…

『攻殻機動隊2.0』に想う機械の身体とジェンダー

オシイ攻殻機動隊はシロマサ攻殻機動隊(原作)の世界観の真逆を張っている。そのことが、人形使いの声優が家弓家正から榊原良子になってよりいっそう明らかになった、と思う。攻殼機動隊2.0 (Ghost in the Shell) シロマサ攻殻機動隊で、草薙素子が人形使い…

『私が女になった日』はタイトルは酷いが良いイラン映画

たまに、普段なじみのない国の映画を見るのが好きだ。 こうした国の映画というのは、画面やストーリー展開が予想できないので、自分がいかに普段囚われた思考に陥っているかに気づかせてくれる。普段使わない思考や感情が動かされ、とてもリフレッシュする。…