日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

『海よりもまだ深く』と是枝監督と橋口亮輔監督作品

もう先週のことになるが、樹木希林さんの訃報を受けてすぐに、本作を見た。『万引き家族』は劇場で見る予定だったけど、時間が取れないでいるうちに上映期間が終わってしまっていたしね。 映画『海よりもまだ深く』予告編 見終わった感想は、是枝節全開だな…

240年目の古事記伝 第二十二回 雌雄はあまねく(神世七代論⑦意冨斗能地神・大斗乃弁神論)

神世七代の後五代の各論の三回目です。神世七代については、神世七代を全体として捉え、その文脈の中に個々の神々を解釈しようという態度が取られますが、おおきく3つの対立する学説にわかれ、それぞれに一長一短有り、決定打がありません。そこで、本稿で…

240年目の古事記伝 第二十一回 生産空間の誕生(神世七代論⑥角杙神・活杙神論)

神世七代の組となっている後五代について、有力3学説はどれも一長一短があり決定打に欠けるため、あえてとらわれずに冒頭の文脈全体から考察していく各論の二回目です。 前回は、神世七代としては③代目となる宇比地迩神(うひぢにの神)と須比智迩神(すひ…

240年目の古事記伝 第二十回 共働の神々(神世七代論⑤宇比地迩神・須比智迩神論)

前回までの考察で、神世七代の神々の解釈は、神世七代全体の文脈から捉える見方が主流であること、有力な学説がおおまかに3つあり、そのそれぞれが他説への排他的な優位性を主張していることを見てきました。それぞれの主張には一長一短あり、優劣は決めが…

『カメラを止めるな!』は事前情報を極力排して観るべき

春にシネマトゥデイの記事でを知り、上映を楽しみにしていたのに、ずるずると鑑賞のタイミングを逃してしまった『カメラを止めるな!』を観てきました。 www.cinematoday.jp その間、どんどん評判が高まっていたのは知っていたので、公開期間も延びるだろう…

『ゴーストバスターズ(2016)』に見るリブートの呪い

1984年版オリジナルを女性メインにリメイクしたところ、予告編が公開されるや批難が殺到しYoutubeの悪評記録を更新、主演女優へのヘイトが相次ぐなど、本国アメリカでは炎上案件になってしまった本作、公開当時に見逃してしまっていて、今頃Netflixで鑑賞し…

240年目の古事記伝 第十九回 不十分な説明(神世七代論④)

別天つ神(ことあまつかみ)の世界は、神とヒトが共に暮らす「国」の世界の雛形を高天原に自らの世界の鏡像として創造します。 この神世七代の世界は、国之常立神(くにのとこたちの神)が開き、次に、万物を循環する水と雷のエネルギーを含み絶えず動き様々…

『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』はポップコーンムービーの良作

『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』は公開当時映画館で観たのですが、最近Amazonでも配信が始まったので今頃レビューです。ネタバレ厳禁も納得のオチがすべての作品でしたので、以下もネタバレなしの感想です。 「アベンジャーズ/インフィニティ・…

240年目の古事記伝だより 加筆しました

いつも拙稿をご愛読いただき誠にありがとうございます。 現在、神世七代についての考察(の開陳)を進めていますが、『古事記』冒頭の解釈の要は、高御産巣日神(たかみむすひの神)なのだなあとつくづく思います。 そんなことを思いながら過去に書いたもの…

240年目の古事記伝 第十八回 文脈の中の神世七代(神世七代論③)

神世七代の神々がどのような神々であるかについての有力3説には一長一短があり、それぞれの説の支持者による他説への反証もそれぞれに一定の説得性を持ちます。こうした中で、神世七代の妥当性のある解釈に至るためには、神世七代だけにフォーカスするので…

『機動戦士ΖガンダムIII 星の鼓動は愛』は、富野氏による神殺しか

もう10年以上前にシネスケに書いた映画評に、ありがたいことに最近お気に入り投票*1が入りました。 Amazonプライムユーザーなら映画版もTV版も無料で見られるみたいなので、新たに脚注を付けてお蔵出ししてみます。 劇場公開前に予習としてファースト信者の…

「英文解釈の呪い」の解き方

バス待ち時間にはてぶをつらつら眺めていると「英文解釈」なる記事が目に入った。そういえば、先日も高校生の息子が「英文解釈」がわかんないと言ってくるから、ならやんなきゃいいじゃんと返したら、「英文解釈」しないと英語が読めないというから、そりゃ…

240年目の古事記伝 第十七回 三すくみの神々(神世七代論②)

神世七代の有力3説は、議論において三つ巴の争いの様相を呈していて、どれが妥当なのかについて、それぞれの説を支持する学者たちの議論に決着がついていません。 説Aは、③土地→④宅地→⑤家屋→⑥出会い→⑦性交に至る男女の象徴と推移するもので、神世七代に大…

240年目の古事記伝 第十六回 神々の世代重ね(神世七代論①)

神世七代の神々が、どのような神々であるかについて、その解釈には定説がありません。しかしながら、どの説も、これら代々の神々を一つのまとまりとして、相互を文脈的に位置づけた解釈がなされています。したがって、説による解釈の差は、神世七代にどのよ…

知らないあいだにトップ映画ブロガー254位になっていた

拙Blogの映画評はあんまり読まれていないけど、AIには読まれていたようですね。;-) こういう独創的な試みをする人は個人的に応援したい。 今のところシネスケの長文批評だけ持ってきてるんだけど、枯れ木も山の賑わい的応援として、折を見て寸評も持ってくる…

240年目の古事記伝だより 「シン・ゴジラ」と大国主命

Amazonプライムで8/1から『シン・ゴジラ』のプライム会員無料配信が始まりました。『シン・ゴジラ』については、以前に感想を書いています。これを機会にこちらの拙稿も読んでいただけたら幸甚です。下の枠内の黒の太字の記事タイトルをクリックすると映画感…

240年目の古事記伝だより

ご愛読ありがとうございます。最近★をもらって嬉しいです。 個別に御礼はしませんが、この場で謝意を表します。 また、拙稿をお読みになってくださった全ての皆さんに心から感謝申し上げます。 第一回目と第二回目の記事を一部加筆修正しました。 「二刷」み…

240年目の古事記伝 第十五回 一次元から二次元へ(豊雲野神論)

神々に視座を置いた神々だけの世界である「別天つ神」の世界は、天之常立神(あめのとこたちの神)で終わり、その鏡像としてヒトに視座を置いた神々だけの世界である「神世七代」の世界が、国之常立神(くにのとこたちの神)から始まりました。 その二代めと…

240年目の古事記伝 第十四回 視座の移行(常立神論④)

天之常立神(あめのとこたちの神)は別天つ神の世界を閉じ、国之常立神(くにのとこたちの神)は神代七代の世界を開きました。 これら二神は鏡像関係にある境界の神であり、そのことは、高天原に天と国の二つの世界(別天つ神の世界と神世七代の世界)がある…

240年目の古事記伝 第十三回 高天原の二つの世界(常立神論③)

常立神(とこたちの神)には、産巣日神(むすひの神)同様、バリエーションが存在します。ところが、常立神(とこたちの神)のバリエーションは、産巣日神(むすひの神)とは違い、バリエーションの違いは、能力や形態の違いになりません。 天之常立神(あめ…

240年目の古事記伝 第十二回 バリエーションのある神々(常立神論②)

別天つ神(ことあまつかみ)のラストを飾る神は、天之常立神(あめのとこたちの神)です。これは、見方を変えれば、 天之常立神(あめのとこたちの神)の誕生によって別天つ神(ことあまつかみ)の世界に終止符が打たれたのだと解釈することができます。 ※本…

ハルカトミユキを聴いた日

なんか邦楽で新しい音楽聴きたいなーと思ってapple musicを漁っていたら、超文化系なタイトル付けてる女性2人組を見つけた。 これとか。短歌になってる。マジか。 虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。 アーティスト: ハルカト…

240年目の古事記伝 第十一回 境界に立つ二神(常立神論①)

宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじの神)に続いて、高天原に誕生するのは天之常立神(あめのとこたちの神)です。そしてその次に誕生するのが国之常立神(くにのとこたちの神)です。この二神は、ともに常立神(とこたちの神)ですが、独神(ひ…

240年目の古事記伝 第十回 肉体を持たないジェンダー(宇摩志阿斯訶備比古遅神論②)

天地初発の時に天之御中主神(あめのみなかぬしの神)、高御産巣日神(たかみむすひの神)、神産巣日神(かみむすひの神)の三神が誕生したのち、まだ水に覆われた状態である地を、やがて生まれくる神々が住まう場所にしようという動きがはじまります。 そん…

240年目の古事記伝 第九回 時間は天に属さない(宇摩志阿斯訶備比古遅神論①)

天地初発のとき、高天原に、天之御中主神(あめのみなかぬしの神)、高御産巣日神(たかみむすひの神)、神産巣日神(かみむすひの神)が次に次にと誕生します。ここまでが、『古事記』冒頭233文字の一段落目*1です。 二段落目からは、時が変わります。「国…

240年目の古事記伝 第八回 世界の創造と神の主体性(産巣日神論③)

高御産巣日神(たかみむすひの神)と神産巣日神(かみむすひの神)とは、タイプの異なる産巣日神(むすひの神)です。それらは独神(ひとりがみ)であり、その働きは、全く個別に考えなければなりません。 唯一無二の存在であるはずの産巣日神(むすひの神)…

240年目の古事記伝 第七回 複数の太陽神(産巣日神論②)

天之御中主神(あめのみなかぬしの神)が、特定の場所、高天原に誕生したことによって、日本以外の神話に見られるような、特定の神を頂点としたピラミッド的な秩序や、一神を中心とした放射状の曼陀羅構造ではなく、高天原に次々に誕生する神々が等しく中心…

240年目の古事記伝 第六回 233文字の構造を踏まえて(産巣日神論①)

ここまで、「天地初発」「天之御中主神」「高天原」と考察を進めてきました。その結果、『古事記』の「天地初発」は、『日本書紀』の「天地開闢」や『旧約聖書』の「天地創造」とは全く異なる世界創生譚であることがあきらかになりました。 それは、天と地と…

240年目の古事記伝 第五回 高天原という思想(「天之御中主神」論②)

「天地はじめてあらはしし時、高天原に成れる神の名は天之御中主神」(天と地だけが始動し、それ以外の世界の構成要素はその存在を明らかにしていない、そんな時に高天原に最初の神があらわれました)という文章から『古事記』は始まります。 天之御中主神(…

240年目の古事記伝 第四回 『古事記』と『聖書』のコスモロジー(「天之御中主神」論①)

『古事記』に最初に登場する神は天之御中主神(あめのみなかぬしの神)ですが、これまでの『古事記』研究では、この神にあまり注意が払われてきませんでした。 『古事記』本文中に最初の1回しか登場してこないので、さして重要な神ではないだろうと思われて…