日本は成功しすぎたEUである(映画と思想のつれづれ)

明治の国会には藩の数ほどの通訳が当初いたそうです。律令制の昔から明治までの日本は連合国家みたいなもんだったんだなあ。

240年目の古事記伝 第十四回 高天原の二つの世界(常立神論③)

常立神(とこたちの神)には、産巣日神(むすひの神)同様、バリエーションが存在します。ところが、常立神(とこたちの神)のバリエーションは、産巣日神(むすひの神)とは違い、バリエーションの違いは、能力や形態の違いになりません。 天之常立神(あめ…

240年目の古事記伝 第十三回 神々のバリエーション(常立神論②)

別天つ神(ことあまつかみ)のラストを飾る神は、天之常立神(あめのとこたちの神)です。これは、見方を変えれば、 天之常立神(あめのとこたちの神)の誕生によって別天つ神(ことあまつかみ)の世界に終止符が打たれたのだと解釈することができます。

ハルカトミユキを聴いた日

なんか邦楽で新しい音楽聴きたいなーと思ってapple musicを漁っていたら、超文化系なタイトル付けてる女性2人組を見つけた。 これとか。短歌になってる。マジか。 虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。 アーティスト: ハルカト…

240年目の古事記伝 第十二回 並び立つ巨神(常立神論①)

宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこじの神)に続いて、高天原に誕生するのは天之常立神(あめのとこたちの神)です。そしてその次に誕生するのが国之常立神(くにのとこたちの神)です。この二神は、ともに常立神(とこたちの神)ですが、独神(ひ…

240年目の古事記伝 第十一回 肉体を持たないジェンダー(宇摩志阿斯訶備比古遅神論②)

天地初発の時に天之御中主神(あめのみなかぬしの神)、高御産巣日神(たかみむすひの神)、神産巣日神(かみむすひの神)の三神が誕生したのち、まだ水に覆われた状態である地を、やがて生まれくる神々が住まう場所にしようという動きがはじまります。 そん…

240年目の古事記伝 第十回 時間は天に属さない(宇摩志阿斯訶備比古遅神論①)

天地初発のとき、高天原に、天之御中主神(あめのみなかぬしの神)、高御産巣日神(たかみむすひの神)、神産巣日神(かみむすひの神)が次に次にと誕生します。ここまでが、『古事記』冒頭233文字の一段落目*1です。 二段落目からは、時が変わります。「国…

240年目の古事記伝 第九回 世界の創造と神の主体性(産巣日神論③)

高御産巣日神(たかみむすひの神)と神産巣日神(かみむすひの神)とは、タイプの異なる産巣日神(むすひの神)です。それらは独神(ひとりがみ)であり、その働きは、全く個別に考えなければなりません。 唯一無二の存在であるはずの産巣日神(むすひの神)…

240年目の古事記伝 第八回 複数の太陽神(産巣日神論②)

天之御中主神(あめのみなかぬしの神)が、特定の場所、高天原に誕生したことによって、日本以外の神話に見られるような、特定の神を頂点としたピラミッド的な秩序や、一神を中心とした放射状の曼陀羅構造ではなく、高天原に次々に誕生する神々が等しく中心…

240年目の古事記伝 第七回 233文字の構造(産巣日神論①)

ここまで、「天地初発」「天之御中主神」「高天原」と考察を進めてきました。その結果、『古事記』の「天地初発」は、『日本書紀』の「天地開闢」や『旧約聖書』の「天地創造」とは全く異なる世界創生譚であることがあきらかになりました。 それは、天と地と…

240年目の古事記伝 第六回 高天原という思想(「天之御中主神」論②)

「天地はじめてあらはしし時、高天原に成れる神の名は天之御中主神」(天と地だけが始動し、それ以外の世界の構成要素はその存在を明らかにしていない、そんな時に高天原に最初の神があらわれました)という文章から『古事記』は始まります。 天之御中主神(…

240年目の古事記伝 第五回 『古事記』と『聖書』のコスモロジー(「天之御中主神」論①)

『古事記』に最初に登場する神は天之御中主神(あめのみなかぬしの神)ですが、これまでの『古事記』研究では、この神にあまり注意が払われてきませんでした。 『古事記』本文中に最初の1回しか登場してこないので、さして重要な神ではないだろうと思われて…

『ゴースト・イン・ザ・シェル』に見るアイデンティティクライシスの日米差

★★★ 士郎正宗の原作漫画『攻殻機動隊』(以下、士郎攻殻と略す)ではなく、押井守監督の映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(以下、押井攻殻と略す)の実写化である本作品は、主人公たる少佐の苦悩を押井攻殻とは別のものに変えてきた。その苦悩は、同時…

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』はザッカーバーグの秘密でもある

★★★★ 52歳から世界企業を起業した男(=マクドナルド創業者)の物語を知りたいなと思っていたところにAmazonプライムで本作を見つけました。見る前には予想だにしなかったとても面白いことに気づいてしまったので、ちょっと書いておこうと思います。それはマ…

240年目の古事記伝 第四回 天地、自らの意志(「天地初発」論②)

『古事記』と『日本書紀』は、物語の構造が大きく異なっています。 そのことは、「天地初発」と「天地開闢」の天地の違いに端的に表れています。 この構造の違いを意識することによってはじめて、「天地初発」が表現しているものは何なのかが明らかになりま…

240年目の古事記伝 第三回『古事記』の天地は開闢(かいびゃく)しない(「天地初発」論①)

イザナミ・イザナギの国生みは『古事記』の日本創生譚として知られていますが、世界の始まりはどう書かれているのでしょうか。 有名な「天地開闢(かいびゃく)」は『日本書紀』の世界始まりの描写で、『古事記』本文には「天地開闢」の記述は出てきません。…

240年目の古事記伝 第二回 ロジックで読む古事記(序論②)

『古事記』の世界観は、僅か233文字の漢字で書き表されています。簡潔だからと言って俳句のように読み手のイマジネーションを喚起するような書き方がなされているわけではありません。簡潔を極めたその文体は、むしろ文学的な読解を受け付けません。 明確に…

240年目の古事記伝 第一回 私家版古事記伝(序論①)

インターネットや人工知能など最先端の技術は西欧的な知性と不可分で世界を席巻しています。一方、中国は巨大な市場と労働力という物量でマーケットという世界地図を塗り替えようとしています。その狭間で日本は世界に発信できるようなグランド・デザインを…

『ブレードランナー2049』の限界と矛盾

★★★ 『ブレードランナー2049』は『ブレードランナー』の続編として完璧だった。ストーリー以外は。(以下ネタバレあり) 映画『ブレードランナー2049』日本版予告編

テイストがアメリカン・ニューシネマだった『LOGAN ローガン』

★★★ テイストがアメリカン・ニューシネマな感じで驚いた。今のアメリカはベトナム戦争敗北時と似た精神状況に置かれているのだろうか。 映画「LOGAN/ローガン」インターナショナル版予告(字幕版)

存在していた未来のような

news.mynavi.jp

『君の名は。』は思想したか

★★ ボーイ・ミーツ・ガールものとしては楽しい。だが、エヴァやマトリックスがキリスト教をギミックとして使いこなしたように神社の設定を活かせていたら、もっと傑作になったのにとの思いも残る。(以下ネタバレあり) 「君の名は。」予告

『シン・ゴジラ』の「何かが欠けている感」と、石原さとみの役作りのリアルさについて。

★★★★ 偶然にも『シン・ゴジラ』公開前の過日、とある歴史ある神社の巫女さんと会話する機会があり、あの偉大なるゴジラのテーマの作曲者である伊福部昭氏は、代々神主の家系であり、先祖をたどると大己貴命(オオナムチノミコト)に行きあたることを知りまし…

『エクス・マキナ』と日の丸

★★ 2014年の冬にオンラインマガジンのwiredの記事(『Ex Machina』:美しく強力なアンドロイドとの三角関係を描く映画(予告動画あり)|WIRED.jp)でこの映画を知って、以来日本での公開を待ちわびて、ようやく先日劇場鑑賞してきました。 その間、欧米での…

MBA4.0

とある米国在住の大学教授から何年か前にボストンで聞いた話。そろそろ忘れそうなので、備忘禄的に書いてみる。 ハーバード大学のMBAコースでの教授間のイニシアチブの歴史というのを聞いた。雑談の中での一つのトピックだったのでどれくらい正確なのかはわ…

『外国人市民がもたらす異文化間リテラシー』落合知子 書評

何年かぶりに会った友人から自著の献本をいただいた。思うところあり書評を書いてみた。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が浮き彫りにしたもの

★★ 激賞する友人に触発され、さあ乗るぞと勇んで鑑賞したもののイマイチ乗れなかった理由は、この映画が、行って途中で思い直して折り返すというめずらしい構造を持ったロードムービーだったからかもしれないなと。(以下ネタバレあり) 映画『マッドマックス…

ゲイと日本とLGBT

このごろLGBTっていう言葉をたまに耳にするようになったわね。L・G・B・T。 レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーのことよ。 要は性的マイノリティーのことをもっとよくわかってね、ってこと。 最近ではジョブスのあとにAppleのCEOになった…

鉄斎とシニアライフ

出光美術館に鉄斎展に行ってきた。 それぞれの絵の画風に、著しく違いがあるのに驚いた。展示コーナーをジグザグに移動して、年代別に画風を追った。 84歳から85歳にかけて何があったのだろう。その後、字体も変わっている。私ごときが論評などおこがましい…

『X-men フューチャー&パスト』(2014/米)見てきました。

会社帰りに鑑賞。ブライアン・シンガー以外のX-menになじめなかったので素直に嬉しい。 X-Men: フューチャー&パスト (字幕版) シリーズ第一作と第二作の監督であったブライアン・シンガーが、ウルヴァリンシリーズを含むと7作目の本作で監督に復帰したわ…

『アナと雪の女王』が示すアメリカの現在と未来

昨日家族で『アナと雪の女王』を見に行ったのでその感想を書いてみようと思います。 アナと雪の女王 - 予告編 以下ネタバレ含みます。 実は先に見に行った友人の話しを聞いて、勝手に抑圧と解放の物語だと思っていました。松たか子の歌はいいけれど、日本語…